









リスクの管理は、保健 医療 福祉などの専門家が一方的に判断するのではなく、患者や家族など対象者本人がリスクを理解できるように相互にコミュニケーションをはかるリスク・コミュニケーションという考え方があります。リスク・コミュニケーションという考え方は、1980年代頃から欧米を中心として取り入れられ、「個人,機関,集団間でのリスクに関する情報や意見のやりとりの相互作用的過程」と定義されます。この概念の特徴は、リスクについての意思決定の主体が医療者のような専門家のみではなく、リスクにさらされる患者や家族にもあることを意味しています。
生活リスクに対する不安や心配に向き合い対処することができなければ、生活を楽しみ、何かに挑戦してみようと思う気持ちの余裕はなかなか生じものではありません。しかし,病気や事故で障害を持った患者とその家族が、専門的な知識を持たず自らその後の生活で生じるリスクを適切に予測し、対処することは一般的には非常に困難だと言えます。
そのため患者・家族とのリスク・コミュニケーションによって生活リスクへ共に向かい合い、協業的に対処していくことができる幅広い知識を持ったスペシャリストが必要であると考えます。この作業は,患者・家族,セラピストの双方にとってまさに生活を創る過程であると言えます。
本研究は、以上のような考え方に基づき,生活リスクの軽減をテーマに、リスク管理やリスク・コミュニケーションの具体的な方法である患者教育、信頼性、コミュニケーション方法、リスク認知,リスク軽減のための福祉用具等について,リハビリテーション科学,看護学,生活科学,社会福祉学,心理学,認知科学,福祉工学等の幅広い立場から学際的に研究を行っていこうとするものです。
生活リスクマネジメント・リハビリテーション研究会代表 宮口 英樹